認定考査対策用の書籍
認定考査用書籍の紹介
認定考査の試験結果が届きました。合否の結果は、既に出ていますが、点数については希望者のみに送られてきます。点数結果希望者は、9月に合否の結果希望の旨を法務省に郵送します(試験会場で獲得点数を希望する場合の方法についての説明書を貰えるので、それに従い、指定の期間内に法務省に点数通知希望の旨を郵送で伝えます) 認定考査も合格すれば一生に1度きりの試験なので、記念的に請求してみました。
私の点数は、59/70(順位47位/1062人中)でした。認定考査は、司法書士試験とは異なり、平均点による足きりもなく、例年40点以上で合格となります。
内容は、民訴の「要件事実」および司法書士法、司法書士法施行規則、司法書士倫理などをもとにした「倫理」問題から構成され、本試験に通られた方であれば、しっかりと準備さえすれば確実に合格できる試験だと思います。しっかりと準備すれば合格するし、しなければ落ちる試験です。
筆記試験に合格された方は、まずは口述試験対策をされていることと思いますが、来年の6月には多くの方が認定考査試験を受けることとなると思います。
認定考査試験の勉強としては、専門の参考書を購入して勉強される方が多いと思われますので、私が使用した書籍を参考までに記します。
なお、認定考査を受けるためには、来年の特別研修を終了することが必要です。特別研修を受けずして、認定考査試験を受けることはできません。
特別研修は、要件事実の基礎を学ぶことが目的ですが、認定考査試験のための研修という側面もあります。したがって、自信があるのであれば、特別研修のみで試験に挑まれることも不可能ではありませんが、特別研修ではむしろ正解よりも思考のプロセスや法解釈について学ぶことが主であるため、解説・答えが記載された書籍を購入された方がよいでしょう。
「要件事実の考え方と実務/加藤新太郎/民事法研究会」
12月以降の研修に入る前に、必読図書や参考図書が日司連から提示されるので、そこで多くの書籍を購入することとなると思いますが、この書籍も特別研修の参考図書のひとつです。
私が一番使用した書籍です。この書籍には、要件事実の基礎から、各事例毎の要件事実について詳しく記載されています。10回以上は繰り返し読んだ気がします。むしろ、認定考査用というよりも、開業してからも十分参考にできる書籍です。要件事実の基礎理解がないと、最初は若干難しく感じるかもしれませんが、理解が進めばそこまで難しく感じることはありません。前述のとおり、事例毎に要件事実が記載されており、解説もしっかりしているため、試験用としても非常に優れています。
「要件事実ドリル/坂本龍治/弘文堂」
この書籍は、認定考査対策の書籍です。「要件事実の考え方と実務」が多くの事例における要件事実について解説しているのに対し、この書籍は認定考査対策と割り切って、試験に出る範囲の要件事実のみを記載しています。初めて要件事実について学ぶのであれば手にとってみてもよいかもしれません。私は、試験前にこの書籍を購入しました。試験に出る範囲の要件事実について絞った記載となっており、平易な表現で、かつ、詳しく解説がされています。
「認定考査対策と要件事実の基礎/小山弘/日本加除出版」
この書籍の特徴は、講義形式、つまり、会話調(生徒数人とチューターとの会話)で要件事実の解説がされている点です。この書籍も試験直前に購入したのですが、むしろ特別研修前にこの書籍を一読しておくとよいかもしれません。会話調で記載された解説と同様の論点について特別研修でも学ぶため、よい予習となります。また、この書籍には、過去の認定考査問題が付録として付いてきます(答えももちろん付属しています)。これまで、認定考査の試験問題は、法務省のHPで見ることができましたが、解答については発表がなかったため、非常に助かります。
「新問題研究 要件事実/法曹会」
特別研修の参考図書です。「要件事実の考え方と実務」に比べると、基礎的な要件事実についての記載となっており、要件事実について初めて勉強する際には有益な書籍です。ただ、ある程度理解が進めば、「要件事実の考え方と実務」があれば本書を読む機会はなくなると思います。
「司法書士簡裁訴訟代理等関係業務の手引き/日司連/日本加除出版」
倫理関係を勉強するうえで、大いに参考になる書籍です。試験対策にとどまらず、実務においても、傍にあると非常に助かります。試験に合格されたばかりの方はご存知かどうか分かりませんが、司法書士の職域は限られています。例えば、司法書士は法律相談を受けることはできますが、簡裁管轄の140万以下の民事に関する紛争であることが前提です。また、職責、義務などは司法書士法や司法書士倫理などで明確に規定されています。この書籍では、そうした職域や倫理上の注意点について詳しく解説がされておいます。認定考査においては、要件事実の問題とともに、それら倫理分野からの問題も出題されますが、本書籍に頼ることで理解を深めることが可能です。
倫理というと、一見地味に思えるかもしれませんが、実際の実務では常に考慮しなければなりませんし、認定考査においても、仮に倫理分野で点が取れないようだと合格はできません。しっかりと、倫理分野については、本書籍で勉強されることをお勧めします。なお、本書籍も研修の参考図書です(必読図書だったかもしれません)
認定考査対策用の書籍としては、「認定司法書士への道/蛭町浩/弘文堂」が有名です。しかし、私は使用したことがありません。どうも傾向的には、「要件事実の考え方と実務」を購入する方と、「認定司法書士への道」を購入される方で分かれるようです。
認定考査試験は、まだ先ですので、焦る必要は全くありません。ただ、いずれは勉強しなければならない訳ですから、今のうちからいずれかの書籍を軽く一読しておくと理解も進むと思います。
お勧めは、「要件事実の考え方と実務」および「司法書士簡裁訴訟代理等関係業務の手引き」の2つです。
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合格おめでとうございます、認定考査も上位合格で凄いですね!さすが我が先生です!
微力ながら補足しますが、手引きは改定の周期にあたるので10月中旬に改定するかもしれません(辰巳)
特別研修がロースクールのソクラテスメソッドのような感じがしてるので少し不安があります。講師の能力によっては全くの時間の無駄になるおそれがありますので。
そこで、
①おそらく予備校の講座は取られなかったと推測してますが、演習はご自身でされたのでしょうか?
②あと、認定考査関係以外の研修に向けての書籍ですが、必要最小限の書籍だけ買って後は@40さんオススメの本や開業関係の本を買おうかと思うんですが、書士会推奨の本すべて買う必要がありますか?こちらは書ける範囲で構わないので、よろしくお願いします。以前の記事では11冊読み込みされてたようなので日々是勉強だなと痛感しておりますが、なにぶん遅読なもので、、、
本年度の筆記合格者です。
有益な情報をありがとうございます。
直ちにブックマークしました。
今後も更新を楽しみにしています。
>うさこさん
コメントありがとうございます。
また、合格おめでとうございます。
こちらこそ、今後とも宜しくお願い致します。
>アチさん
認定用の講座は取りませんでした。
認定考査は、予備校でお金を払って勉強するほどの試験ではないかと思います。
本試験は、ご存じのように、範囲が膨大ですから、効率的な勉強をするうえで予備校のメリットは大きいです。しかし、認定考査は、要件事実と倫理という限られた範囲の試験であり、予備校で講座を受けて勉強することと、書籍で勉強することの差はないと私は感じます。
演習は、小山弘氏の「認定考査対策と要件事実の基礎」に付属している過去問をやったのみです。
演習対策としては、過去問を一通りやれば、十分かと思います。
研修用の書籍ですが、さすがに提示された書籍の全ては購入しませんでした。一つは、もちろん資金的な理由もありましたが、書籍は読んで初めて意味があるわけですから、仮に提示された全ての書籍を購入しても、その全てを一挙に読むことは不可能であったことも理由です(提示される書籍以外にも読みたい書籍もあったため)
私の場合、必読図書は全て買い(2万円位)、参考図書のうち、特に推薦のマークがついている書籍のみを購入したと記憶しています(3万円位)
ただ、今思えば、当時そこまで買う必要もなかったかなというのが正直なところです。実をいうと中には私にとってはあまり有益ではないものもありました。もちろん、買ったことに意味が無いとも思いませんが、人それぞれやるべき事や、得るべき知識の優先順位は異なる訳ですから、購入すべき書籍は、強制されるべきものではなく、各人の判断で選択すべきとも感じます。
それでも、あえて推薦するとすれば、以下の書籍でしょうか。
・「要件事実の考え方と実務/加藤新太郎/民事法研究会」
・「注釈司法書士法/テイハン」
・「書記官事務を中心とした和解条項に関する実証的研究/法曹界」
・「簡裁民事事件の考え方と実務/加藤新太郎/民事法研究会」
・「司法書士簡裁訴訟代理等関係業務の手引き/日司連/日本加除出版」
あと、民法の書籍があると便利です。これは、提示されたものから選択してもいいですし、ご自身で好みのものを選んでもいいと思います(私は内田民法と、あと注釈民法(有斐閣)を使っています)
もちろん、上記はあくまでも、提示された書籍の中であえて選ぶならという前提で示したにすぎません。知識を高めるには、実際には多くの書籍を購入する必要が生じます。今年度合格された方ではありませんが、中には開業時に100万近く書籍代として費やした方もいます。私もそこまでは及びませんが、合格後から今まで40万円超位は書籍代で消えました。
ただ、いきなり買う必要もないと思いますよ。提示された中から、読みたい書籍を選び、徐々に知識を吸収していけばよいのではないでしょうか(あとでも安く買えます)
宜しくお願いします。
凄く凄く参考になります!
昔から文句を信じてしまう性分なもので本が出るとすぐ買ってしまうので、大変助かります。
早くも12月から配属研修が始まってしまうので、またまた予定が変更になってしまいました。人生予定外ばかりですね。
今ちょっとストレートに司法書士事務所に勤務するか迷っていますが、目上の人や周りの人と相談して決めたいと思います。噂の大手なども直接目で見ないと分かりませんし、そこらへんは挫折して少し成長したかなと思ったことであります。
まだまだ絡みたい所ですが、台風直撃の口述試験が終わったらまた報告しますので、よろしくお願いします!
>アチさん
配属、結構早いですね。
口述今年は10/14なのですね。台風お気をつけて下さい。
勤務してご経験を積まれるのももちろんありですよね。私は年齢的に諦めましたが。。。
まずは、口述頑張ってください!
はじめまして、かずといいます。
今年筆記試験合格した者ですが、
お聞きしたい事があります。
本日口述試験受けて、特別研修の資料みたいなのを配布されました。
その中で必読戸書、参考図書が掲載されていました。
それらの書籍を買った上で、お勧めの参考図書の購入検討すれば良いんでしょうか?
それとも、お勧めの参考図書があれば乗り切れるという事でしょうか?
すみませんがご教示願えればと思います。
>ただ、今思えば、当時そこまで買う必要もなかったかなというのが正直なところです
この部分が必読書の中にも買う必要もなかったという事なのか、必読戸書は文字通り必読なのか、ご教示願います。
連続書き込みもうし訳ありません。
>かずさん
口述試験お疲れ様でした。
必読図書は、基本、必ず購入すべき書籍。
参考図書は、各自が判断して購入すべき書籍です。
したがって、原則、必読図書は必ず注文すべき書籍ですが、実際に購入するしないは、各自の判断に委ねられます。所属司法書士会からは、おそらく、全部購入しろと言われると思いますが、参考図書を入れると10万円を超えますから、これを今この時期に全冊購入しろというのも無理な話だと私は感じます(これ以外にも研修費で20万円は必ず必要になるわけですから)
必読図書や参考図書は、今後各人が司法書士としてやっていく上で、読むべき書籍であることは間違いありませんが、各自が読むべき書籍や得るべき知識は異なりますし、その優先順位も異なる訳ですから、義務的に購入する必要はありません。
ただ、今後研修をするにおいて、それら指定図書があると、理解の助けになることは間違いありません。
なお、私が上記に掲載した書籍は、全て必読図書または参考図書の中の書籍です。もし、今購入するのであれば、上記書籍を購入するという意味で掲載しました。
>ただ、今思えば、当時そこまで~
という一文の意味は、私は必読図書と参考図書を5~6冊購入したのですが、あの時点で購入しなくてもよかったかなという意味です。これには、必読図書も含まれます。
買う必要がないというより、必要なときにおいおい購入していけばよいという意味で記載しました。
宜しくお願い致します。
>かずさん
追記
もし余裕があるのであれば、むしろ、消費者法や特定商取引法、割賦販売法などの書籍を購入して予習しておくと、研修で理解が進みます。また、破産法、個人民事再生あたりの書籍も読んでおく方が、漠然と指定図書を購入するより有意義です(研修でこのあたりも講義を受けることになりますが、正直予習していないと全く理解できません)
すごく参考になりました。
お金も時間も余裕ないですので、まず事前に予習で読んでおくべき本から順位つけして買っていこうと思います。
お勧めの本と紹介分、すごく参考になります。
必読図書であっても、今すぐ買わなくてもいいという事なんですね。
研修までのスケジュール考えながら買って読んでいこうと思います。
独学合格組なんで、情報源が少なくすごく助かります。
またお聞きするかもしれませんが、よろしくお願いします。
>かずさん
こちらこそ今後とも宜しくお願いします。
研修頑張ってください!
@40様
はじめまして。
司法書士受験を検討中なのですが、スタートを切るにあたり、いくら悩んでも答えが出せない不安があり勉強を開始できず、このままストレスでつぶれてしまいそうな32歳男です。
ここで悩み相談のような話を投稿しては駄目でしょうか?
”司法書士業務と副業(?)の両立は可能か…”というような内容の悩みです。
メールアドレス欄のアドレスに直接ご返信いただいても結構です。
誠に恐縮の限りでございますが、@40様の貴重なご意見をお伺いさせて頂けませんでしょうか…。
宜しくお願い致します。
失礼致しました。
>受験検討歴もうすぐ1年(焦) さん
はじめまして
副業と司法書士業務の両立は可能ですよ。もちろん、副業が何かにもよるのでしょうが、ちょっと詳細が分からないのですが、実際に副業をやりながら司法書士をやっている方もいますよ。
私でお答えできることであれば、具体的な内容をお教えいただければお答えさせて頂きます。
なお、もし、あまり公にされたくないようでしたら、その旨おっしゃっていただければ、コメント公開しませんので、ご安心下さい。
はじめまして
お忙しい中、失礼致します。
@40さんを心から尊敬いたしております。
もしよければ、お時間のある際にアドバイスをいただけないでしょうか。
司法書士試験を目指すにあたって、
教材選びで悩みに悩んでたどり着きました。
あまりにも記事が洗練されていて、一気に深く読み入ってしまいました。
そして相当程度の影響を受け、15年度合格目標の「実践力パワーアップ講座」まで実際に購入してしまいました。
勢いは否めませんが、これさえやり込めば合格できるのでは、という思いもありました。
しかし私は、ほとんどの科目において初学者です。
行政書士試験は先日受けましたが、基準点に届くかどうかくらいの勉強内容です。
そして会社法はまったく手をつけていません。
いまさら遅いのですが、これは中級者向けの教材ですが、やはり山本先生のオートマなどの併用がベストでしょうか。
それとも、みるみるシリーズ、もしくはデュープロセスなどのほうが良いでしょうか。
お忙しいとは存じますが、お時間あるときにご回答いただけると大変ありがたいです。
>にゃんこさん
コメントありがとうございます。
にゃんこさんは、直接メール頂いた方でしょうか?
違う場合は、教えて下さい。
併用するのであれば、初学者の方であるならば、オートマがいいかもしれません。比較的容易に論点を理解することができるはずです。
但し、もし来年合格を希望されるのであれば、実践力のテキストを中心に勉強することをお勧めします。
再来年合格を目指すのであれば、オートマ中心でも構いませんが、結局のところ、しっかりと論点を網羅したテキストを読込んで、記憶の充実を図ることが司法書士試験においては、とても重要と考えます。
その意味では、簡潔に論点が記載されている実践力テキストは、何度も何度も読込むのであれば、とても適しています。
デュープロは初年度に憲法のみを使用しました。これは、オートマの憲法は理解中心過ぎて、若干論点不足に感じたからです。
実践力併用なら、オートマの方がよいような気がします。実践力で理解できない論点があれば、オートマを見て理解を深めることができますが、デュープロの場合は、実践力とそれほど説明に差異はないような気がします。
宜しくお願い致します。
勝手がわからず、こちらの書き込みと、メールでの質問内容が重複してしまいました。
申し訳ありません。
とても丁寧なご回答、ありがとうございました。
>にゃんこさん
いえいえ、同じ方かなと思ったものですから
勉強頑張って下さい
以前、このサイトを励みにしていた者です。
よければ最近の近況など教えて下さるとありがたいです。
>以前、このサイトを励みにしていた者です。
よければ最近の近況など教えて下さるとありがたいです。
開業してもうすぐ2年が経とうとしています。
なんとか必死にやっているという感じでしょうか。
色々と悩むことが多い毎日ですが、なんとか頑張ってやってますよ!