現役司法書士による不動産登記記述予想問題

 本当に久しぶりに投稿しています。実は、最近ある登記を申請していく中で、「これは良い不動産登記記述の問題になるのでは?私ならこの登記原因証明情報を作成させる問題を出題する。」と感じることがありました。

 その登記は「債務者死亡による相続後の免責的債務引受」に基づく抵当権変更登記なのですが、とりあえず、この投稿に先立ち、最近の司法書士試験問題を確認してみたところ、なんと、今年、令和8年の記述式に免責的債務引受が出ているではありませんか。

 といっても、登記原因証明情報を作成させる問いではなく、離婚にともなう債務引受であり、問題内容もよくある時系列毎に申請内容を記載するものでしたので、先を越されたという感じではありませんが、ちょっと残念です。それに、実をいうと、平成29年の司法書士試験において、既に免責的債務引受を原因とした登記原因証明情報の内容を問う問題が出題されておりますしね。

 参考投稿「司法書士事務所で働くと司法書士試験合格に有利なのでしょうか?」

 免責的債務引受に基づく抵当権変更登記は、最近は団体信用生命保険に加入される方も多いため、以前ほどの頻度ではありませんが、それでも、試験合格後、実務において必ず遭遇するメジャーな登記なのは間違いありません。記述試験が、より実務よりの傾向になっている状況からすると、平成29年度に既に出題されているように、相続からの免責的債務引受を原因とした登記原因証明情報を作成させる問題は、当然に出題されるべき問題といえると思います。

 司法書士にとって、免責的債務引受に基づく抵当権の変更登記は、お馴染みの登記といってもよく、私もこれまで何度も申請をしたことがあります。

 抵当権の債務者が死亡すると、その債務は分割債務となり、各相続人が法定相続分に応じて負担することとなります。その後、抵当権者である金融機関が相続人全員との間で、特定の相続人が債務を承継する内容の免責的債務引受契約を締結します。

 免責的債務引受は、従来より金融市場で行われてきた手続となりますが、令和5年の民法債権法改正までは、条文記載されておらず、いわゆる判例法理に基づいて行われてきた手続でした。判例や既に条文記載されていた第三者弁済に当てはめた解釈などもされてきましたが、債権法改正により、これまで明文化されていなかった「免責的債務引受」に関する条項が追加されたことで、法的効果を生じさせるその要件はより明確となりました。 

 つまりは、登記で使用する登記原因証明情報の内容も、条文記載の要件を満たすことが必要になったわけです。

  ところで、これまでの一般的な登記原因証明情報は、以下のような内容でした。

 ①金融機関と相続人ABCは、令和〇年〇月〇日、本件不動産上に設定された抵当権(令和〇年〇月〇日〇〇地方法務局浜〇〇支局受付第〇〇〇号登記済)の被担保債務であるBCの債務につき、Aが免責的に引き受ける旨の免責的債務引受契約を締結した。

 ②よって、同日、本件抵当権の債務者はAに変更された。

 売買に基づく所有権移転登記などと同様に、非常に定型化していた内容で、私もそうでしたが、多くの司法書士が深く検討することなく、申請してきたかと思います。しかし、債権法が改正された今、この記載だけだと、条文に記載された要件を満たしているか判別できないこととなります。

 詳しい説明は、事務所のブログに記載してありますので、そちらをご覧頂ければと思いますが、おそらく、今後、この免責的債務引受に関する問題が出るのではいかと、勝手に予想したりしています。今年度出たばかりのため、来年ということはないかもしれませんが、問題を作成する側の立場にたつと、相続にからめて出題しやすく、使いやすい論点のように感じるからです。出題される場合は、平成29年度と同様に、相続からの一連の流れの手続となるでしょう。平成29年から来年で10年経ちますの、そろそろじゃないかと感じたりします。また、債権法改正によって変更された登記原因証明情報の内容を問う出題も、タイミング的によい気がするのですよね。

 事務所ブログ「免責的債務引受による債務者変更登記(改正民法対応)」

 一応・・・出なかったら、そのときは、ごめんなさい。

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