登記事項証明書等の記載事項に関する特例
本日より「商業登記規則等の一部を改正する省令案」に関する意見募集が開始されました。
リンク先 e-GOVパブリックコメント「商業登記規則等の一部を改正する省令案」に関する意見募集
今般の改正は、以下のとおりです。
- DV被害者、ストーカー被害者等である会社代表者等(自然人であって登記簿に住所が記録されている者)から、被害の恐れのあると申し出があった場合には、その代表者の住所を表示しない措置を講じることができる。
- 具体的には、登記事項証明書の代表取締役等欄に記載されている住所に代えて、「商業登記規則第31条の2の規定による措置」と記録される予定。
- 登記情報提供サービスにおいて、会社代表者等の住所を一律で表示しないこととする。
実務上、これまでも商業登記のみならず不動産登記においても、DV被害者やストーカー被害者の保護を目的とするための施策は既に運用されています。よって、今回のこの改正は時代に合ったものともいえます。
しかし、問題は、最後の③です。
「登記情報提供サービスにおいて、会社代表者の住所を一律で表示しないこととする。」
これはどうなんでしょう。目的が見えません。DV等被害者保護のためであれば、登記事項証明書と同様に代替文を記載すればよいだけです。また、個人情報保護の観点から役員等の住所を表示しないのであれば、法務局で取得できる登記事項証明書上の住所も記載しない改正を行わなければ意味はありません(そもそも、それだと登記が公示機能を果たせなくなりそうですが。)
おそらく、以前から会社代表者の住所を公にすることの弊害は指摘されていました。実際に、ネット等で住所を拡散されたり、悪用されることも考えられなくはありません。そうしたことから、今般、簡単に取得できるネットだけでも、制約を設けたいとの意向なのかもしれません。
いずれにしても、おそらく、パブコメ段階ということは、今年の夏前位には公布されるのでしょうか。実務上は、今後ひと手間増えることとなりそうです。
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