セダン・マニュアル・FR

「くうねるあそぶ」

 初代日産セフィーロ(A31)のキャッチフレーズです。CMで井上陽水が窓から顔出して「皆さん、お元気ですか」と言っていたのを懐かしく感じます。知っている方は多分40代以上でしょう。当時日産がとても元気であった時代、S13シルビアを筆頭に、セフィーロ、シーマなど、当時としては先進的なデザインで市場を席巻しておりました。

 私は、結構車好きで、といっても、サーキットに行くとか、頭文字Dとか、そこまでではなく、下手の横好きに過ぎません。セフィーロは、私が、大学卒業後、初めて購入した車ということもあり、とても思い出深い車でした。スポーツツーリングという3つあるグレードの丁度真ん中のマニュアル車を購入し、馬力は150前後の車だったと記憶しています。中古で80万円程度でした。嬉しくて、何も用がないのに車に乗り、箱根ターンパイクまで走りに行ったり、深夜に神奈川県から熱海まで山を越えて、また戻ってくる、そんなことを繰り返しておりました。

 セフィーロは前述のとおり、150馬力程度しかなく、いわゆるカタログ値としては平凡な車ではありましたが、当時のセダンは大体車重が1200kg程度でしたので、アクセルを思い切り踏込めば、そこそこの加速を感じられ、運転を楽しむことができる車でした。

 セフィーロは、いわゆる「セダン」で「後輪駆動/FR車」です。2代目からは前輪駆動/FF車になりました。セフィーロでマニュアル車の魅力に取りつかれたこともあり、以降、私が購入する車は「セダン・マニュアル・FR」が基本となっています。やっぱり利便性と走行性能を考えると、私にとっては、セダン以外はあまり選択肢とならず、今の自家用車もセダンタイプのマニュアルFR車です。しかし、最近は、毎日業務で軽自動車を運転していることもあり、休みの日まで車に乗りたいと感じられなくなってきたことにくわえて、そもそもマニュアル車が絶滅の危機にあることから、さすがに次は、年齢的にも、AT車でいいかなとも感じています。

 マニュアル車の魅力は、よく誤解されますが、AT車より速いとか遅いとか、そんなことではなく、自分で車を操作する感覚が優れていることにつきます。左足のクラッチを操作することで、車の物理的挙動をAT車に比べると、格段に感じることができるようになるのです。

 こうした感覚を、昔は、多くの同世代の友人たちが共有していたものですが、最近は、車自体が売れていないようですね。地方では、車は生活必需品ですので、一人1台はあたりまえですが、20代の方でもミニバンなどが多いようで、比較的売れているはずのトヨタ86などでさえ稀にしか見ません。たまにホンダのS660を見ますが、運転しているのは60代以上の方ばかりです。そもそも軽自動車で200万円超えですから、当たり前かもしれませんが。

 次に、購入したのは、トヨタマークⅡのツアラーV(100系)という車でした。30代以下の方は知らないでしょうが、この兄弟車にチェイサーという車があり、当時爆発的な人気を誇っていました。大して稼ぎもないのに、頭金無しのほぼフルローン300万円超えの72回払いで購入したのです。

 マークⅡはトヨタ車だけあって、ハイセンスな内装に目を見張る感じがしたのを覚えています。エアコン送風口がクラウンのように自動でスイングする機能などは、今考えると、くだらないどうでもよい性能ですが、当時はそれを喜び、友人に見せびらかすなどしていました。

 ツアラーVは直6のターボ車で、当時の自主規制限界の280馬力を誇り、スープラなどにも搭載されるなど名機と誉れ高いエンジンを積んでいました。加速も鋭く、購入当初は、喜び走りまわっていましたが、次第にこの優れたエンジンに対し、足回りが貧弱すぎることが明白になるにつれ、この車に対し愛着を持てなくなっていきました。セフィーロと違い、アクセルをベタ踏みすることもできず、雨の日などにベタ踏みしようものなら、後輪がスリップして、事故りかねません。

 車というのは、自分の所得額からすると不釣り合いに高額であっても、ローンで購入することが可能なため、その所有欲を満たすことができます。しかし、自分の生活レベルに合わない車を購入すると、車そのものがストレスになるものです。そのため、一度冷静?になるためにも、手放し、とりあえず生活の足として20万円程度の車を中古で購入し、しばらくして生活が落ち着いた後に、日産スカラインGTターボ(34系)を中古200万円で購入することとしました。もちろんマニュアル車です。

 当時、スカイラインは、マークⅡのまさにライバル車で、価格から性能やグレードまで、それぞれ日産、トヨタが相手方に対抗しているのが明らかなガチンコ車でした。34スカイラインの内装はマークⅡに比べると、レゴブロックを組み合わせたような、とてもセンスがある内装とは言い難いものでしたが、こと走行性能に限っていえば、マークⅡだとロールが生じてしまうようなコーナーであっても、シャシーの剛性感が高いためか、スムーズに曲がっていきます。また、制動力もマークⅡより優れており、いわゆる車の基本性能である、「走る、止まる、曲がる」に限って言えば、マークⅡより格段に優れた車でした。

 こうした実体験もあって、いまだにトヨタ車というと、どうも敬遠してしまう自分がいます。

 その後、そのスカイラインを10年近く乗り、走行距離も20万キロを超え、それでも元気に走っていましたが、さすがにそろそろ買い替え時かなと感じ、購入したのがBMW3リーズ(E91)でした。会社員時代のちょうど司法書士試験受験を志した頃だったでしょうか。セダン・マニュアル・FRで購入対象を絞ったのですが、日本車では20代の若者が乗るようなスポーツタイプしかなく、年齢的にももう少し落ち着いた車が欲しいと考えた際に、BMW3シリーズに落ち着きました。そもそも、セダンでマニュアル車はBMW3シリーズ位しかなく、また、人生で一度は外国車に乗ってみたい希望があったことも購入の理由でした。

 BMW3シリーズは、いわゆるDセグメントの世界標準と言われています。なお、3シリーズは7年周期でフルモデルチェンジすることが多いのですが、日本車と異なり、同じ型式であっても、初期型から後期型にいたるまで、細かい修正を繰り返すため、後期型を購入する方がお勧めです。しかも、モデル末期においては、値引きがとても大きく、3シリーズであれば100万近くに到達することもありえます。

 最近の日本車は、同じDセグメントのスカイラインやレクサスISあたりは新車購入時400万は軽く超え、比較的安いマツダ6(旧アテンザ)であっても、350万近くに達し、かつ、値引きが少ないことを考慮すると、昔のように外車=高いという図式は成り立たなくなっています。デメリットは、後期に購入するとすぐに新モデルが登場し、型落ちとなってしまいますが、それに拘らないのであれば、モデルチェンジからBMWでいうところのマイナーチェンジであるLCIを経由した5年目以降を狙うといいでしょう(ただ、数か月前のニュースで、公正取引委員会よりBMWジャパンが、ディーラーへの過剰供給により、独占禁止法違反の認定を受けたと聞きましたが、あまりにも大きな値引きは、こうした背景があったようで、おそらく、今後はこうした大きな値引きはなくなるかもしれません。)

 BMWの特徴としては、そのエンジンにあります。内装は、日本車のように近未来感はなく、最近は少しはマシになってきましたが、どちらかというと無骨というか落ち着いた雰囲気かもしれません。特に3シリーズは世界標準ですので、尚更奇をてらったデザインにはなりくい側面があります。3シーリズは4気筒から6気筒ターボまでのラインアップがあり(現行は確か3気筒もあった気がします)、私が購入したのは、320iという2リッターの4気筒エンジンを積む車でした。カタログ値的には大したことはなく、直噴の160馬力弱だった気がします。巷でBMWのエンジンのことを、フリクションが少ない滑らかさ故にシルキーシックスと呼ぶことがありますが、これは6気筒エンジンのことを指しています。したがって、私の購入した4気筒エンジンは、それとは厳密には異なるのですが、それでも、これまで日本車に乗ってきた者からすると、十分に驚愕すべき性能でした。

 スカイラインにしろ、マークⅡにしろ、カタログ値でいえば、3シリーズを遥かに凌駕します。実際、加速性能なども、明らかに上でした。しかし、ことエンジンのフィーリングに限っていえば、日本車の場合は、高回転まで回す際に、必ずといっていいほど、何かしらのよどみというか、一旦回転数の増加が止まるような感覚を覚えていましたが、この4気筒エンジンは、スーっとスムーズに高回転域まで突入します。こうした感覚を得るのは初めてでした。おそらく6気筒であれば、さらにスムースなフィーリングなのでしょう。またもう一方の異名であるハンドリングマシンとしての性能も確かなものでした。峠等を走って楽しくなる車でした。

 

 こうした日本車では得られない経験をすることができたのは、たかが車といえど、よい経験になりました。BMW3シリーズは中古であれば、200万くらいでも手にはいります。日本車と変わらない価格で買えますので、一度は外国車に乗ってみるのもお勧めです。その後、E91も手放し、今の現行車に至りますが、ほとんど仕事用で、遠方に行く際に使用する程度で、費用対効果が悪すぎる無駄な買い物になっています。しかし、私の世代からすると、やっぱり車は男のロマンみたいなところがあり、またいつか車で長距離旅行でもしてみたいと思うこの頃です。

 

 

 

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