【司法書士試験】独学と予備校

独学では合格できないのでしょうか

「独学では司法書士に受からない」
「予備校に通わないと合格できない」と言う人がいます。

 私は、予備校のWeb通信講座を受講しましたが、予備校は合格に必ずしも必要なものではなく、あくまでも合格のための一助となるに過ぎないと考えています。
私にとって、それ以上でもそれ以下でもなく、予備校はあくまでも参考書などと同様の合格のためのツールの一つに過ぎません。

 実を言うと、大学受験も含め、私はこれまで試験を受けるにあたり塾や予備校に通ったことがありません(1回だけ大学受験の際に単科を受講しようと料金を払いましたが、すぐ行かなくなりました。今更ですが親には申し訳なく思います。)。そのため、通常の方に比べるとより独学での受験を志向しがちな面はあったのですが、初年度試験に失敗後、予備校の講座を受講することを決断しました。

 初回受験の際にメインテキストとして使用したのは、市販の「オートマチックシリーズ/Wセミナー」でした。しかし、択一で足切りとなった後、「オートマチックシリーズ」単体では択一に必要な知識が足りていなかったという認識、そしてまずは自分が頼ることができるテキストがさらに必要であると考えました。

 「オートマチックシリーズ」は、後で知ったのですが、TACの山本氏の講座においてメインテキストとして使用されているようです。予備校が講座メインテキストとしてそのまま用いるということは、当然単体で合格レベルに達するという判断なのでしょう。しかし、私個人においては、「オートマチックシリーズ」のみでは、合格に必要な知識を得ることができないという印象を試験の結果から持ちました。

 「オートマチックシリーズ」に加え他のテキストを使用するか、そもそも「オートマチックシリーズ」をやめて、新たに他のシリーズを用い独学を継続するか、または予備校の講座を受講するか、色々悩んだ結果、最終的にLECの「実践力PowerUP講座Web通信」に申し込みました。

 私がその時1番必要としていたのは、1冊のみで合格に必要な知識を吸収できるテキストでした。予備校の講座を受講する決断をしたのは、良質なテキストを手に入れる目的のみといっても過言ではありません。

 予備校のテキストは当然合格するためのテキストであり、言い換えれば、テキストを完全に理解し記憶できれば、他のテキスト等を要することなく、合格できると判断したのです。反対に、市販のテキストの場合は、どのシリーズであれそれ単体では合格に必要な知識を得ることは難しく、結果的に他のプラスαの書籍が必要になる可能性があると初年度に使用した「オートマチックシリーズ」の経験から感じていました。
 例えば、メインとサブテキストの2本立てで勉強した場合、当然両方のテキストに目を通す必要が出てきますが、通常このような場合には、メインとサブで重複する知識が掲載されていることが多く、その分読込みに時間を要してしまう可能性があります。
 合格には過去問中心の上辺の知識ではなく、基礎力が必要であり、テキストの内容をしっかり理解する必要があること、そして基礎力をつけるにはテキストを読込むしかなく、読みこむべき対象が数冊に渡るというのは記憶を阻害する可能性があるとも考えました。
 もちろん予備校のテキストがそれ単体で合格に必要な知識を網羅しているかどうかは、その時点では分かりませんでしたが、結果的にはLECのテキストは私にとって十分満足いくものでした。良質のテキスト1冊に絞り込んだことにより、記憶も固定化しやすく、効率的な勉強が出来たと考えています。

 また、予備校においては年明け1月から答練という科目毎の模試が始まることが一般的です。この模試は単純な過去問ではなく、論点を理解しているかを問う予備校作成の良問が多く出題されます。私が受講したLECの答練では、半数近くは過去問ではなく、LECが出題論点から作成した独自問題でした。
 予備校では、俗に「インプットとアウトプット」という言葉がよく使われます。これはテキストで知識をインプットし、問題を解く際にその知識をアウトプットする意味ですが、テキストで得た知識が問題を解くことで自然と記憶が固定化できるようにタイムテーブルが組まれています。
 LECの場合は、1月~3月は個別科目毎の35問試験、4月以降は実際の試験と同様に午前科目、午後科目毎の35問試験が行われます。おそらく、他の予備校でもこれは同様と考えますが、こうした点も予備校の持つ大きなメリットの一つです。

予備校のメリット

  • 合格に必要な知識を1冊のテキストで得られる
  • 論点が把握しやすく作成された予備校独自問題等による答練がある
  • 原則、他の教材不要なため、書籍等を自分で探す手間が省ける

 私の場合は、あくまでも、合格に必要な信頼できるテキストを得られるという目的で講座に申し込んだため、答練によってより効率的な勉強ができたことは、嬉しい誤算でした。

 このように、予備校の講座は、独学に比べて幾つか優れている点があるのも事実です。ただし、決して独学で合格ができないとは私は思いません。予備校の方が、あくまでも効率面の点で優れているだけであり、予備校に行くと独学で理解できなかった論点が分かるようになったり、記憶力がアップしたりするわけではありません(前述の通り、答練を通し、記憶しやすくなる側面は確かにあります)

 勉強をしていると、「独学では受からない」などと無責任なことを言う人がいます。しかし、そのようなことを言う人のほとんどは、司法書士試験について全く知らない人が多いのが実情だと思います。実際に受験していれば、そのような考えに至ることはありません。独学でも効率面では予備校に劣りますが、その分をカバーできれば十分合格できます。あえて、現在独学で勉強されている方にアドバイスをさせて頂くとすれば、「答練」と「模試」については、記述試験の側面からも受講した方が良いと思います。独学の場合は、質の高い問題はなかなか得られれず、過去問集のみとなってしまい、論点を明確にするために作成された予備校の独自問題を解いている予備校生との差が開きがちだからです。

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【司法書士試験】独学と予備校” に対して4件のコメントがあります。

  1. 先輩 より:

    予備校のテキストに不足があるから、「講義」が必要なのでは?
    オートマチックは、「中卒」の人向けに書いたと聞いています。

  2. @40 より:

    オートマッチックは分かりやすく書かれた良書だと思います。
    初年度購入時には講義で使われているとは知りませんでした。
    確かに、講義で補完するような側面もあるのかもしれませんね。

  3. にんたま より:

    初めてコメントさせて頂きます。
    現在司法書士試験合格を目指して学習しております。もう学習を始めて半年ほどになります。
    民法に時間が掛かりすぎてしまいまして
    憲法を現在勉強しながら、不動産登記法に
    突入する所であります。
    @40さんはテキスト読みの重要性を
    説いていらっしゃいましたが、独学で勉強を
    始められた頃は単元ごとに理解をある程度してから先に進むという形でテキストを読み進めていらっしゃったのでしょうか?
    私は初学者に良くありがちな「理解を出来ない部分があるとそこで止まってしまい先に進めなくなる」クセが中々治らずそれを恐れる余り、
    学習がストップしてしまう事があります・・・。
    @40さんはそのような時はどの様な対処を
    なさっていらっしゃいましたでしょうか?
    宜しければお聞かせいただけますと幸いに存じます。
    何卒宜しくお願い致します。

  4. @40 より:

    >にんたまさん
    こんにちは。
    にんたまさんは、にんじんさんと同じ方でしょうか。先ほどhttp://sihoushosi-goukaku.seesaa.net/article/376584380.htmlにコメント返信しておきました。
    よろしくお願いいたします。

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