テキスト量および必要時間

通期の勉強時間

 初学者の方の参考になるか分かりませんが、合格までに私が消費した勉強時間は下記の通りとなります。1つの目安として頂ければと思います。

司法書士通期時間

 

 昨日のブログでも述べた通り、年内中は問題に手をつけずに、テキストを読込むのみでした。年明けから答練等で問題を解き始めましたが、テキストの読込みは続けており、この表からほとんどの時間をテキスト中心に勉強していたのがお分かり頂けると思います。
 司法書士試験の難しさの1つに、受験科目が多岐にわたる点があります。つまり、覚えるべき情報の量が膨大で、分野毎の記憶の継続が非常に難しいのです。中途半端な記憶では本試験に太刀打ちするのが難しく、しっかりとした理解が各科目において必要です。民法の勉強をしていた際には理解していた論点も、不登法、商登法など他分野の勉強をし終えて、再度民法に戻ってくると、すっかり忘れていたという経験は、多くの受験生が経験するところだと思います。
 新たに開始した他分野をやりながら、既に終えた分野の勉強も継続すれば良いのではないかと思われるかもしれませんが、それは初学者には非常に至難の業です。もちろん最終的に、つまり試験本番直近においては、全ての科目を同時に漏れなく勉強していくことは必要となります。しかし、初学者にとっては一科目を勉強するだけで相当な時間を費やし、他分野の勉強をすることは生活上も体力・精神的にも困難となります。

テキスト頁数及び必要時間

 では実際に一分野のテキスト等を読みこみ理解していくのに必要な時間はどのくらいなのか。下記は、各分野における一般的なテキストの量および初学者がそれに目を通し、ある程度の理解を得られるために絶対的に必要と思われる時間を、私の経験則上まとめたものです。

司法書士テキスト頁数
司法書士読込時間

 初学者がテキスト100頁を読む際、5時間程度は必要となると想定されます。これは私が受講したLECの中級者用の講座の進捗スピードの平均ですが、初学者用講座の場合はもう少し歩みは遅いかもしれません。
 仮に3回読み込んだとします。おそらく2回目も読むスピードは初回と差はないでしょう。3回目には理解が進み、半分の時間で読めるようになったとしても500時間ほどは必要となります。
 これは、単純に一日5時間勉強したとしても100日必要な計算です。しかし、初学者がいきなり5時間集中して勉強ができるでしょうか。モチベーション以外においても、家庭がある、仕事があるなど様々な理由によって、時間は制約されることもありえます。
 そう考えると、一般的に、よほど強い信念があり、かつ相当に自由な時間がある場合でなければ、初学者が100日でテキストを3回読み込むのは難しいと思われます。一日あたり3時間で計算すると、170日弱、約半年程度必要となります。

 さらに、現実には3回程度の読込みでは、よほど理解力・記憶力が優れていない限り、合格に必要な理解度に全く達しません。ようやく基礎理解の習得が終了し、ここから更に理解を深め、知識を完全暗記する段階へと進みます。一般には、3回程度だとようやくなんとなく論点が明確になってきたかなと感じる程度と推測します。参考までに、下記に私が実際に本試験までにテキストを読み込んだ回数(明確に数えていた訳ではないので概算です)を記載します。

司法書士読込回数

 

 本試験直前期においては、100頁30分程度で速読をしていました。一字一句飛ばさずに目を通すのではなく、論点の概要を再度「脳」に刷り込むようなイメージです。特に最後の2週間に関しては、昨日のブログに記載したように、3日以内に全教科のテキストを繰り返すことを目標としていましたので、この位のスピードで読まないと全分野に目を通すのは難しかったのです。また、この直前期にはテキスト読込み以外にも、過去問や答練の復習なども行っていましたので、時間を作るためにも、この位の速読は必要でした。
 速読といっても、しっかり勉強を積み重ねてきた受験生であれば、直前期においては、それほど難しいことではないと思います。すでにテキストの論点の9割程度は理解しているでしょうから、細かい論点や記憶に不安がある論点を中心に、最終の出題範囲のチェックをするというような感覚でも構いません。もちろん、直前期にテキストを読まなくても記憶が継続できる方はここまでの速読は不要ですが、何かしらの方法によって直前期に再度全範囲に目を通すことは合格に非常に有益なのは、昨日のブログで説明した通りです。
 しかし、これだけテキストを読込んでも、全てを暗記したと言えるまでには至りませんでした。いずれにしても、択一で安心できる点数である30点以上を出すには、本試験において覚えた記憶が継続しているかが重要です。初学者においても、読込みを重ねることによって、当初に比べると格段に早く読み進めることが可能となるはずです。
 このようにテキストを何度も読み、その上さらに過去問・答練等のアウトプットをこなすことを考慮すると、結論として、初学者が司法書士試験合格のために用意すべき時間は、1年強程度を見ておくのが無理のないスケジュールと考えます。あくまでも一つの目安ですが、合格に必要な勉強時間は、2,000時間~と一般に言われています。
 なお、最近の予備校講座のトレンドは短期合格コースです。1年に満たない期間の講座があり人気を集めているようです。実は、私個人はこれら講座に少し懐疑的です(初学者用の講座に限ります。中上級者用の講座であれば1年内コースも妥当な期間と考えます)
 私が気になるのは、予備校はしっかりとこれら講座の特徴を受講しようとしている人に説明しているのかという点です。
 司法書士試験をこれから受けようとする初学者は、短期でこうした講座を受講すれば合格できると思われるかもしれません。もちろん間違ってはいないのですが、忘れてはいけないのは、合格のために必要な勉強時間は、変わらないということです。つまり、3ヶ月で合格を目指そうが、2年かけて合格を目指そうが、合格に必要な勉強時間を経ていなければ合格することはできません。
 これら講座で初学者が合格を目指すには、長期での合格を目指す場合に比べて、1日長時間の相当ハードな勉強時間が必要となるはずです。何故なら、予備校講座のみではせいぜい答練を合わせても通常500時間程度ですから、一般に合格に必要とされる最低限の2,000時間には遠く及びません。短期で合格を目指すには、足りない分を自分で勉強する必要があり、かつ、コンスタントに自由に勉強できる時間が必要となるはずです。それとも、私が知らないだけで、絶対的勉強時間を短縮できる何か画期的な方法でもあるのでしょうか。おそらく、そのような画期的な方法はないはずです。
 予備校はこれら講座を販売する際に、しっかりと司法書士試験がどういうものか説明し、短期で合格するためには、中長期講座の受講生以上に毎日長時間の勉強時間が絶対的に必要となることをしっかりと説明すべきと考えます。予備校の講義を受けて、復習をし、次の講義の予習をする、この程度で試験に合格できるのであれば、司法書士試験が高難度とは言われることはありません。私からアドバイスできるとすれば、もし皆さんが社会人であれば、このような短期講座よりも、余裕を持って仕事と勉強を両立できる長期講座をお勧めします。また専業であっても、前提条件として、相当強い信念があり時間に融通が利くことが必要と考えます。

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テキスト量および必要時間” に対して9件のコメントがあります。

  1. Misai より:

    はじめまして。質問させてください。
    ①テキストは一教科ずつ読了されていったと受け止めていいでしょうか? それとも一日に数科目同時進行だったのでしょうか?
    ②過去問への取り組みはどうされていましたか?
    今年の本試験では午前31でしたが午後の基準点が1問足りませんでした。来年に向けては読み込みをメインに考えていたので、今日の記事は大変参考になり心強い気持ちになりました。テキストはオートマを選択しています。厚かましいですが、アドバイスをいただけると嬉しいです。

  2. @40 より:

    こんばんは。
    LECの実践力講座は、「民法」からスタートし、「民法」が終わると、「不登法」が開始、順に「会社法」「商登法」などの講義が始まります。1月いっぱいで全ての科目講義が終了します。
    年内中も、一応読込みを行いましたが、講義に加えて読込みをするのは、なかなか時間的にも厳しく、本格的に読込みを開始したのは、年明けからでした。
    まずは「民法」から読み、それが終わると「不登法」に進みといった具合に、基本1科目毎に読込みをしていきました。
    一番最初に読込みをした「民法」などは、読込み後、1ヶ月程度は全く触れずに、再度読み込んだ時はすっかり忘れていましたが、とにかくこうした読込みを繰り返しました。
    その後は、一日に1科目だけ読込んだ時もありますし、「民法」300頁、「会社法」100頁というように数科目を読込んだこともあります。
    読込みは、正直きつい作業なので、「民法」を途中まで読み、「会社法」を今度は読むなどのようにするのも気分転換が図れるかもしれません。
    過去問は、LECの答練とLECの過去問肢集のみです。
    答練では、1月末より5月まで週あたり35問の問題を解きましたが、間違えた部分だけではなく、全問題を5月後半位から再度繰り返して解きました。
    過去問肢集は、一度1月~2月くらいにかけて、時間的余裕があるときに、問題を解き、間違えた問題や記憶が曖昧な問題のみに印をつけて、6月まで手をつけませんでした。
    本当は、印をつけた問題は、再度目を通したかったのですが、時間的な余裕がなかったのが実情です。
    6月に入ってから、印をつけた問題のみをやろうと思っていたところ、どうも記憶が怪しくなっていたため、もう一度全問題に目を通し、再度印をつけて、以前印をつけた部分と今回印をつけた部分を重点的に繰返しました。
    ちょととりとめのない返答で、ご参考になるか分かりませんが、よろしくお願い致します。

  3. Misai より:

    丁寧に回答していただき、ありがとうございました。
    @40さんのブログで書かれていることは、書士試験の本質に最も近いように思います。それはわかっていはいるけど、読む作業は苦しく(自分がわかっているかどうかを確認したくなって、問題演習や答練で実力試しをしたくなる誘惑にかられることと作業に飽きてしまう)これまで逃げてきたように思います。
    この点はいかがでしたか?

  4. @40 より:

    Misaiさんは、独学で勉強されているのですよね?それともTACでしょうか。
    独学であれば、尚更、そのようなお気持ちになるのは分かります。
    私の場合は、Web通信講座でしたから、基本的には一人で勉強している孤独感的なものは常に感じていました。
    LECで1月から答練を行いましたが、答練の結果を見て、自分の同じ様に勉強している人達がいることを知り、また自分の現在の実力を毎週Web上で知ることは勉強の励みになりました。週に1回の答練およびその結果発表を心待ちにしていた面もあります。
    1月以降、LECに限らず色々な予備校で答練が開始されるのはご存じかと思います。これは、利用された方がいいと思います。
    ただ、10月の現在から問題をやる必要はMisaiさんの場合はないように感じます。
    もし全くの初学者の方にアドバイスするのであれば、一度問題形式を見ておくことも悪くはないため、この時期に問題に目を軽く通すこともよいとアドバイスするかもしれません。
    しかし、Misaiさんの場合は、既に本試験で午前31、午後27を取られており、司法書士試験の問題形式にも慣れており、またほとんど合格レベルにある訳ですから、今いそいで問題をやるよりは、さらなる基礎学力の向上のために、今はテキストを読まれた方がいいように思えます。

  5. Misai より:

    さっそくの回答、ありがとうございました。重ねての質問なのですが、読み込みの際は条文を引きながらですか?それとも通読ですか?
    答練は年明けよりLECを申し込んでいます。
    今、正直迷っています。基本書にオートマを選択したことです。理由は二つあって、一つは@40さんが書かれているオートマへの感想が共感できること。山本先生のブログへの受講生の書き込みを読んでいて、ほとんどの方が山本先生の講義を受けられていて、たぶんオートマの情報量は講義で補完されているのだろうと推測されることです。
    私自身はマイ基本書が確定できていないため(ほとんど条文と答練の復習のみ)基本書読み込み学習をしたいと探していたところ、友人の合格者から勧められたものですが、よく考えれば彼も受講者でした。
    ですから、正直、講義を聴いていない私の基本書が本当にオートマでいいのか不安なのです。@40さんの本試験の結果がすべて物語っているので、実践力のテキストと講義がやはりベストなのでしょうか~?とあれこれ悩んでいます。

  6. @40 より:

     これは今後ブログに書こうと思っていたことなのですが、択一で点数を取る上で欠かせない事の一つとして、「論点」を確実に把握しているかという点があります。
     例えば、択一には単純暗記的な論点と、構成要件的な論点(私が勝手に読んでるだけですが)があります。
     単純暗記とは、文字通り、何も考えずに暗記すればよい論点のことです。例えば、「被後見人が日用品を購入する際には、法定代理人の同意を要しない」という論点など、それ自体を覚えていれば問題を解ける論点です。
     構成要件的論点とは、刑法の構成要件の考え方に似てるような気がしたため、そのように勝手に私が呼んでる論点ですが、法定追認の論点などがこれにあたります。法定追認事由には、基本6つの事由がありますが、問題を解く際に、この6つの事由に該当するかを判断しなければなりません。Misaiさんもご存じのように、試験問題においては、非常にもっともらしく、さも法定追認にあたるように記載がされているが実は違うなどの問題が出題されがちです。
     オートマチックの場合は、著書の山本氏が前書きで述べているように、自然と頭にはいってくるような記載が特徴です。これはこれで確かに大きな本書の長所でもあります。例えば、不登法において「抹消登記は常に主登記」という定義が本書において紹介されています。問題の中には、この定義だけ覚えていれば解けるものも多くあります。
     反対にLECのような予備校の場合は、このような定義付はされません。少なくとも私が受講した昨年度の実践力ではこの定義は紹介されませんでした。
     しかし、先ほどの法定追認のような構成要件に該当するかをしっかりと検討しなければならない問題を解く際に、オートマチックの自然と記憶するという特徴が、あえて意識的に覚えなければならない法定追認などの論点の記憶を阻害する場合があります。
     私は、オートマチックは良書であるのは間違いありませんが、どちらかというと初学者用のテキストのような気がします。また、ブログで述べたように、合格に必要な知識が不足しているように感じました。
     Misaiさんのように、既に登記六法を引くなどしている方には、ちょっと向かないような気がしないでもありません。むしろ、市販書なら同じWセミナーの「デュープロセス/竹下」の方が良いのではないでしょうか。
     また、既に8月より講義は始まっていますが、予備校のテキストを得るために、コースに申し込むのもありだと思います。まだ10月ですから、まだ今からでも十分コースに申し込んでもいいと思いますよ。
    読み込みの際は、基本条文無しですが、テキストの記載のみだとどうも腑に落ちない場合などは、条文を引きました。

  7. @40 より:

    追記です
    予備校のコースに申し込む際は、必ずサンプルテキストを見てから申し込んだ方がいいです。

  8. Misai より:

    いろいろ考え末、今日LECでコースを申し込んできました。ちょうどキャンペーン中で(しかも本日まで!)かなりの割引でそれほどの負担なく、コースの変更ができました。
    @40さんのブログと出会いを含めて、あらゆる意味で幸運でした。今、ブログを印刷して、毎日読んでいます。目標は@40さんの本試験の成績を超えることです(大それた目標ですが)
    申し込んだ以上、もう迷いはありません。2か月の期間を追いつくには、毎日100ページになります。が、私は専業なのでそれくらいはがんばらねば!と思っています。
    これからもアドバイスをお願いすることがあると思いますが、何卒よろしくお願いいたします。またこれからの更新もとても楽しみにしています。
    最後になりましたが、「合格、本当におめでとうございました!!」

  9. @40 より:

    私のブログが少しでもMisaiさんにお役に立てたのであれば嬉しいです。
    申し込まれたのが、実践力であれば、1年で内容がガラッと変わることはないと思うので、分からないこと等あればアドバイスできると思います。
    確か、今の時期であれば民法が終わって不登法あたりが開始した頃でしょうか。Misaiさんのような経験者の方であえば追いつくことは難しくはないと思います
    頑張ってくださいね!

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