平成25年度不登法記述

実際の回答手順

 私が、平成25年度 36問(不登法記述)において解答までに実際に行ったことの流れです。上から順に行っています。
参考:平成25年度司法書士試験問題(法務省)(リンク切れ)


1)答案用紙全体を見る
 全体見ることで、ここまでに記述問題を30問程度解いている受験生であれば、問題の傾向が分かります。そこまで深く見ることは必要ありません(5秒程度で十分)
 平成25年度の場合も、特段変わったところはないという印象を持ちました。
 添付情報の欄が小さいこと、36問第2欄において空白のスペースがあるのが分かります。何かしらを記入するのだということに気づきます。


2)問題全体を見る
 問題全体を、こちらもサラっと見ます。登記事項証明書の甲区や乙区の詳細や添付書類の中身について検討するのではなく、どのような構成になっているかを確認することが目的です。平成25年度の場合は、対象となる不動産が、甲土地および乙土地の2つであることが確認でき、添付書類は別紙9まであることが分かります。

3)事実関係を全て書きだす
 私の場合は、事実関係については、基本的に全て書き出します。こうすることで、頭の中で生じた事実が整理できるからです。下記は、先ほど再度書き出したものですが、本試験においても、ほぼ同様の書き出しをしています。

記述試験書出し

 初学の頃は、書き出さずに解いていましたが、むしろ時間がかかっても(15分くらいですが)、こちらの方が確実に問題を解けるようになりました。書き出しにより、この時点で既に、生じた物権変動が全て把握できます。平成25年度の問題は、論点としては単純であるため、この時点でほぼ解答すべき内容が分かります。
 事実関係を書きだすにあたって、登記事項証明書の甲区および乙区の詳細をに照らし合わせながら検討します。また、事実関係上で「別紙〇」と示される場合は、その都度添付書類を確認します
A 民事二郎が死亡したことが分かる
B 民事二郎の相続関係が分かる
C 1/3を冬子に相続させ、2/3を夏子に遺贈することが分かる
D 乙土地は清算型遺贈であることが分かる
E 法務春男が遺言執行者であることが分かる
F 乙土地を司法秋男に売却したことが分かる
G 乙土地の抵当権の被担保債権および利息等を弁済したことが分かる
H 乙土地抵当権である甲乙丙興産が有限会社から株式会社に、商号変更したことが分かる
I 民事二郎が住所変更をしていることが分かる
J 甲土地および乙土地の課税標準額が分かる
K オンライン庁の指定日が分かる


この段階で、36問の出題意図が大体分かります

① Cより相続と遺贈の申請の順序の論点
② Dより清算型遺贈における論点
おそらく、売却の前提として、相続登記が必要であることを理解しているかを問うのであろうことが分かります
③ Eより遺言執行者がいる場合の論点
1つ目は遺言執行者がいる場合に、遺言執行の妨げになるような行為を相続人はすることができないという論点(ただし、事実関係よりそのような行為はないため、本問ではこの論点ではないと、何となくこの段階で分かります)
2つ目は遺言執行者による申請書の書き方の論点
④ HおよびIより抵当権抹消時における名変登記と相続・遺贈における被相続人の名変登記の論点
被相続人の名変と抵当権抹消登記における抵当権者の名変が2つ生じています。おそらく、どちらかが必要で、どちらかは不要というような対比させるような問題ではないかと推測できます。
 なお、本当は、Fの所有権移転の前に、売主側で抵当権を抹消する約定となっているため、登記の順番に注意するべき論点もあるのですが、実はこの時点では私は気づきませんでした。そのため、一度順番を間違えて記入し、その後、添付書類の売買契約書を確認したところその旨の約定があることに気づき、全部訂正しました。


4)答案作成の注意事項を見る
 もちろん全部に目を通しますが、特にいつも気を付けていたのは下記の通りです。
・登記原因証明情報の記載の必要性の有無
 今回は記号形式だったので関係ありませんが、たまに登記原因証明情報は記載の必要がないという問題があるからです
・記載すべき事項がない場合の記入方法
 斜線なのか「なし」と記入するか
・第三者の承諾の有無
 抹消登記における68条の承諾などのことです
・法人代表者の資格・氏名の記入の必要性の有無
・登記すべき順番と免許税が最も少なくなるように申請する必要性の有無
 通常、これらは問題文冒頭にあります。
 平成25年度試験では、登記すべき順番についての制限がありませんでした。
   ごめんなさい。制限ありました。訂正します。


5)問題1を見て記入する
 甲土地について行った申請を記入します。
 甲土地は、書き出しにより、遺贈と相続を申請することが分かっています。また、被相続人民事二郎は住所変更をしています。遺贈と相続の順番の論点が出ましたが、大体このように書き出しをした際の想像通りの論点が出た場合は、正解であることが多いです。
 被相続人民事二郎の名変登記をしますが、この名変登記は省略できません。省略できる名変登記は「所有権以外の権利の抹消」「相続」「保存登記」(記載ミスです。正しくは「仮登記の抹消」です。失礼しました)の3つですが、遺贈はこれらには当てはまらないため名変登記をする論点を理解しているかが問われていると分かります。
 本問では、更に2番と3番で民事二郎の持分が登記されているため、一括申請をする必要があることが、この時点で分かります。名変登記の一括申請の書き方も論点としてはありえる内容です。
 テクニック的なことになってしまいますが、記述問題では無意味な問題は出題されません。問題用紙も限られているため、余計なことを問題としてしまうと、本当に出題者が聞きたいことが聞けなくなってしまうからです。そのため、解答を記入する際に、そこに何かしらの論点があるかどうかを確認することは重要です。


6)問題2を見て記入する
 登記原因証明情報の内容を書く珍しい形式の問題ですが、内容的には民法の知識を問うている問題です。物権変動がどうすれば生じるかを知ってればいいだけの問題なので、民法の理解がしっかりできている受験生にとっては、むしろ当り前のことを問われ過ぎて、反対に戸惑った問題かもしれません。
 なお、私が受講したLECの記述答練では、頻繁に空欄に民法の知識を記載させる問題が出題されていましたので、このような問題に慣れていたことも簡単に感じた理由かもしれません。


7)問題3を見て記入する
 清算型遺贈においては、前提として相続登記が必要になること理解しているかを問うた問題です。また、相続登記の申請は遺言執行者が行うため、添付書類に遺言執行者の代理権限証明情報が必要となることを理解しているかが論点です。
 2枠目は、答えはご存じのように「1番抵当権抹消」となりますが、私はここを最初本来3枠目に書く移転登記を記載し、その後に間違いに気づき全部訂正しました。添付書類の契約書の細部に気を配らなかったことが理由です。書き間違いがあると、結構なロスになるので焦りました。
 3枠目は、共有者全員持分全部移転という目的に気づくかを問われています。まず、1枠目の相続登記で共有状態となったことに気づくか、そして共有者の全員による移転登記の書き方を理解しているかが論点でしたが、私は物権共有は把握していましたが、目的を所有権移転と記載するミスを犯しました。急いで書くとダメですね。
 4欄は、抵当権の抹消登記において、名変登記は不要であることから4欄は空白であることが分かります。所有権移転登記における名変との対比をさせる問題は十分に考えられる論点です。申請不要という解答になります。
 なお、物権変動を発生した順に申請した場合、債務者の変更登記(住所変更・死亡)を申請しなければならず、本問は6件となるべきではないかという議論がありました。結局のところ、1欄目に相続登記をすることにより、債務者の変更登記を省略して申請する3件が正解となりました。この論点は、仮に知らなくても名変登記が何故省略できるのか(どうせ消す登記だからです)を理解していれば、同じ理由で債務者の変更登記も省略できるであろうこと、また解答欄の数からも推測できます。
 このあたりの議論は、各予備校の解説に出ています。
参考:LEC海野講師解説(PDF直リンク)(リンク切れ)
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平成25年度不登法記述” に対して4件のコメントがあります。

  1. アラフォー元受験生 より:

    @40さん、こんにちは
    口述試験の模試を今週末にLECに予約しています。
    思えばもっと早くの日に模試を受けていればと思います。少し勉強してから模試を受けた方がいいと思っていたんですが、先に模試を受けてテキストをもらってから勉強した方が効率よさそうですね(汗)
    ところで@40さんは就職活動とかどうされる予定ですか?
    早めにした方がいいんですかね。
    通信だったので相談できる相手がいないんです。

  2. @40 より:

    私は、東京に単身で行って、某地方都市に戻ってきたのですが、こっちは司法書士の職はもちろん通常の会社の職も不足気味ですし、年齢的なこともあるので就職は諦めてます。
    自分で開業するしかないかなと思っています。
    全く補助者の経験等はありませんが、子供のためにも頑張るつもりです!

  3. アラフォー元受験生 より:

    即開業ですか!!
    それはスゴイです。
    僕の場合は独身なので収入はそれほど気にならないのですが就職できるかが不安です。
    もちろん開業は将来的には考えていますが今すぐには度胸がないです・・
    僕が言うのもなんですが、お子さんのためにも頑張ってくださいね!!

  4. 匿名 より:

    本当はゆっくり実務で自分の実力を高めた方がいいのでしょうが、結構追い込まれているのでやるしかないと思っています。
    ありがとうございます。頑張ります!
    ちなみに下記の方のブログに受験後のことが色々書かれているので参考になるかもしれません。
    履歴書を事務所に送付するなどしたみたいですよ
    http://kaitablack.cocolog-nifty.com/blog/

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