共同担保目録の通知

法務局

 先日、「オンライン推進運動」と題したブログにおいて、昨年位から登記の完了日が驚異的に早くなっていると述べたばかりですが、つい最近、珍しく法務局公表の登記完了予定日ギリギリで完了した事例がありました。

 完了まで日数がかかると今度は逆に心配になると以前も述べましたが、とにかくこちらの予測以上に日数がかかると、色々と影響が出てきます。

 大抵、完了までにかかる日数というのはいつも一緒なので、それを念頭に、その後の事務手続を頭の中で組んでいくわけですが、その完了日が大きくずれてくると、全ての予定が崩れてしまうので面倒です。とはいっても、こればかりは、誰に責任があるわけではなく、仕方のない話なので、自分の中で業務を調整していくしかありません。

 先週末に、「今日あたりに登記が完了しますか」と法務局に尋ねた際、週明けになるとの話があり、他局から共同担保目録の通知がたくさんきているため、完了が遅れているとの説明がありました。

 おそらく、大規模の事業用不動産か何かの案件で複数管轄にまたがる根抵当権の設定登記が申請されていたのでしょう。複数管轄で根抵当権を設定すると、後の申請をした法務局から最初にした法務局に対して、追加物件が通知されます。

 ご存じのように、根抵当権においては、異なる管轄に対して設定する場合は、その管轄毎に申請をするのが基本です。最近は、他管轄であっても、同日付で申請する方もいるようです。昭和46年10月4日民事甲第3230号の通達のとおりに、同一の契約書で共同担保として定められた根抵当権であっても、後に申請する根抵当権は追加担保として取り扱いされ、かつ、未登記の根抵当権が設定されている不動産を共同担保化できないことから、登記実務上は、同日付申請であっても、どちらかの申請は必ず追加担保として扱われることとなります。

 複数管轄にまたがる根抵当権の同日申請とは、根抵当権設定契約証書を複数用意し、異なる管轄の法務局に同日に申請をし、後日、その一方の法務局に対し、補正として添付書類である登記事項証明書を追完し、追加担保として申請する方法です。私は、これまで、そのような同日付での申請を求められたことはありませんが、そうした事例もあると伺っています。登記が効力要件である共同根抵当権において根抵当権追加設定登記において求められる前登記証明書の意義からも、抵当権ならまだしも根抵当権で、司法書士として補正ありきの同日付申請することは少し疑問ですが、複数管轄で同日付で根抵当権を申請する場合は、現在の登記手続上、上記のような形式をとるより他なく、また、担保権の対抗力の観点から、金融機関としてはリスクを軽減したい意向もよくわかります。手続としては、単なる根抵当権設定登記であり、大した申請ではありませんが、この論点は、特に首都圏で申請をしている司法書士であれば、きっと皆悩まれる事案かもしれません。

 話がずれましたが、その状況を聞いたとき、以前、複数管轄にまたがる根抵当権設定登記を申請した際に、法務局によって、共同担保目録の処理に際し、全くスタンスが異なったことをふと思い出しました。

 確か、埼玉か北関東かのどこかの法務局だったと思いますが、全ての管轄で根抵当権設定登記が完了し、法務局から還付書類や登記完了証も届き、あとは金融機関用に登記事項証明書を取得し、一緒に郵送すれば業務完了となるはずでしたが、いつまで経っても、その法務局管轄の登記事項証明書だけ取得できません。

 その法務局に対し、他の法務局から、共同担保の通知が来ており、その記録処理をしているであろうことは理解していましたが、あまりにも時間がかかるので、問合せをしたところ、その法務局では、共同担保の通知であっても、あくまでも他の登記と同様に受付順に処理をするとのことでした。

 それまで、どこの法務局であっても、共同担保の通知については、一般の申請とは別枠で優先的に処理されることがほとんどだったため、受付順と説明された際、一瞬驚きましたが、不動産登記規則第168条第5項及び第6項では、登記官は遅滞なく通知し、通知された登記所の登記官は遅滞なく記録しなければならないと規定されるのみであり、実際の処理については各法務局次第です。そのため、受付順と言われてしまうと、それに従うしかありません。結局、共同担保が記録されるまでさらに10日ほどかかり、途中、依頼元金融機関に対して、時間がかかっている状況を説明するなどしたことが思い出されました。

 個人的な意見ですが、共同担保の記録は、一般の申請とは別に記録処理をすべきと考えます。申請完了まで日数を要し、さらに、共担の記録でまた同等の日数がかかるのは、あんまりな気もします。最近は、どこの法務局であっても、完了が早くなっていることもあり、仮に受付順であってもそこまで日数を要することはなくなっているのかもしれませんが、このところあまり複数管轄の根抵当権設定登記を申請していないこともあり、どの位の日数を要しているのか実際よく知りません。

 そういえば、以前、全ての管轄で登記が完了し、通知先の登記事項証明書を取得したところ、普通に共担付の証明書が取得できたのですが、最後に申請した管轄の不動産だけ記録されていないことがありました。通知元の法務局に念のため確認したところ、「通知するのを忘れてた」とのほほえましい?回答があったこともあります。人間ですからミスは付きものですので仕方ありませんが、そんなことも実際あったりします。

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